教育問題のトピックス

教育問題に関する論評です

懐風館高校「黒染め訴訟」大阪地裁判決が出ました

大阪府立懐風館高校(大阪府羽曳野市)に通っていた女子生徒が、生まれつき茶色い髪の毛を無理やり黒く染められるなどした上、授業や学校行事参加などを禁じられて不登校になった――として、2017年に大阪府を相手取り、約220万円の損害賠償を提訴した、「黒染め」・校則訴訟。

提訴の事実関係が報じられたことをきっかけに、頭髪に関する校則や、ほかにも生徒の服装や行動などを過剰に規定する、いわゆる「ブラック校則」の問題が社会問題化しました。

訴訟の経過についてはしばらく報道が途絶えていて、どうなったのだろうと気に掛かっていました。

2021年2月16日の大阪地裁判決

2021年2月16日に大阪地裁で判決が出されたそうです。

大阪地裁

大阪地裁(写真ACより)

報道によると、校則で髪を黒く染めるよう規定したことは「学校の裁量の範囲」として、生徒側が「黒染めを強要された」という訴えを退けました。

その一方で、生徒が不登校になったのち、進級したクラスでクラス名簿や座席表に名前が記載されていなかったことについては不適切で違法と認定し、その部分について学校の対応に問題があったとして、約33万円の損害賠償を大阪府に命じました。

原告側は、「事実認定は、教師や大阪府側の言い分を一方的に採用している」とする見解を出しました。控訴も含めて検討するとのことです。

一方で大阪府は「校則で頭髪指導をおこなうことは正当だと考えている」「学校がクラス名簿や座席表に名前を記載しない措置をとったことは不適切だと考えている。大阪府教育委員会としては、事実を把握して、学校側に是正指導をおこなった」とする見解を示し、判決文を精査した上で関係部局で対応を考えるとしています。

校則の違法性の判断は避けたが…

この問題では、校則そのものが人権侵害で違法になるかどうかという点も問われました。しかしそのことについては退けられた形になっています。

また原告生徒は、「生まれつき茶色い髪の毛を、数日おきに染めるよう強制された。染髪料が合わずに頭皮や髪の毛が痛むなどもした。授業や修学旅行への参加も禁じられた」などとも訴えました。一方で、裁判ではそれらの訴えを認めなかったようです。

一般的な話として「学校の裁量の範囲」というのは成り立ちうるかもしれません。しかし生徒の人権を侵害し、生徒を傷つけ不登校に追い込むような措置が、適切だとは思えません。

この訴訟をきっかけに社会問題化した「ブラック校則」問題。頭髪を強制的に黒く染める、無理やり髪を切るなどの「指導」があちこちでおこなわれて問題になっていたことも明らかになりました。そのほか、下着の色や服装などに介入しているなどの問題も告発されるなどしました。

生徒の人権という観点から、「ブラック校則」を今一度とらえ直し、改善を図っていくべきではないでしょうか。

各地では、少しずつですが校則の見直しなどの動きも出ているということです。大阪地裁判決の内容は残念ですが、それとは別に、子どもの声をしっかりと聞きながら、世論を広げて改善させていくことも、重要ではないでしょうか。

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